ウルトラQ

カルトQ』だの『ウルトラQ』だの、けっこう「Q」好きなオレです(意味不明)。あとは『オバQ』と『プレイガールQ』と『ベルトクイズQ&Q』も観れれば完璧。ていうかいま『オバQ』って観るの困難なんだよね。なぜだ? 藤子Fのイメージが散漫にならないように『ドラえもん』に一本化するための陰謀なのか? AとFの両方に権利があるからややこしいのか?*1


…話がそれた。

いま『ウルトラQ』を観ていて第12話まで来たんだけど、このバリエーションの豊富さ。何度観てもすごいと思う。なので、ちょっとつらつらと感想など書いてみる。


第1話「ゴメスを倒せ!」はゴメスとリトラというキャラの立った2怪獣が激突する正統派。成田亨参加直前に制作された前半怪獣路線の完成型。4/5点。


第2話「五郎とゴロー」は人間の科学の犠牲になって巨大化したニホンザルの話。しかし巨大化後の姿はなぜかチンパンジー。まあいいか。山間部のセットをのびのびと使った特撮そのものと、さらに、特撮部分と本編の絡みが素晴らしく、特撮ドラマのお手本みたいな出来栄え。派手な話ではないが、こういうのを金城哲夫円谷一コンビがカチッと作るから初期「ウルトラ」にはビシッとした芯が通ってたんだろうな。3/5点。


第3話「宇宙からの贈りもの」も金城、円谷コンビ。こちらは侵略の真意をはっきり説明しないことで物語に奥行きを出した、正統派SF編。宇宙怪獣がただのでかいナメクジなのがいい味になっている。サスペンス要素もなかなか。4/5点。


第4話「マンモスフラワー」は、撮影順でいうと『ウルトラQ』第1本目であるというのは有名な話。この「マンモスフラワー」の回なんかは、本編観る前に怪獣本なんかの写真ですでに強烈な印象を植えつけられてた一編だよな(丸ビルの上に巨大な花が開いているスチル写真が、多くの媒体に掲載されていた)。ウルトラシリーズってそういうの多い。とにかくビジュアルがもう、トラウマ級に強烈だから。3/5点。


第5話「ペギラが来た!」は記念すべき成田怪獣初登場編(制作順でも最初)。ペギラは素晴らしいが、作品は本編、特撮ともに非常にモサモサした印象でイマイチ(セットでの南極再現は頑張ってるけど)。ストーリーに絡む重要な特撮で時おり何が起きているのかわかりにくい部分があるのが痛い。ゲストヒロインの田村奈己がいい。2/5点。


第6話「育てよ!カメ」は山田正弘脚本、中川晴之助監督コンビの傑作…の1本。このコンビはほかに「鳥を見た」「カネゴンの繭」といういわゆる異色作系の傑作を2本ものしていて、まあ『ウルトラQ』が好きな人には有名。なかでも「育てよ!カメ」は夢と現実がごっちゃになったオフビートな展開を堪能できる傑作。このすっ飛んだ感じは40年たったいまでも十分見習えるよ。すごいカッコいい。なお、オープニングに通常のテーマ曲が使用されていない。5/5点。


第7話「SOS富士山」、こちらはもう一人のウルトラの重要人物、飯島敏宏監督初お目見え作品。村を舞台に怪獣事件が起きて、駐在や子供が活躍するような話は飯島監督の真骨頂。この強烈なほのぼの感は唯一無二でしょう。新マン「落日の決闘」(脚本を担当)でも同じ味わいが楽しめ、さらに劇場版の『ウルトラマンコスモス』にもつながってるんだな。合成カットがまだちょっと試行錯誤中という感じで残念。2/5点。


第8話「甘い蜜の恐怖」は人間の心の闇(嫉妬心)が引き起こした悪事が原因で、巨大モグラが発生するというパニックもの。「悪い心に負けるとアンバランスゾーンに落ちますよ」という教訓が打ち出されていて『トワイライトゾーン』的。2/5点。


第9話「クモ男爵」。こういう洋風ホラー編は試行錯誤な印象を受ける。逆に言うと『ウルトラQ』がここまでオリジナリティを発揮して成功したのって、安直に吸血鬼、ミイラなどに材をとらなかったことにあると思う。これはかなり画期的なことじゃないかな。「ダリ的」とか、子供向けじゃないセリフがポンポン出てくるのは面白い。1/5点。


第10話「地底超特急西へ」は「SOS富士山」とは別路線の、飯島監督のモダン感覚が発揮された一編。東京と北九州を3時間で結ぶという架空の超特急を、セット、模型を駆使してでっちあげ、ほぼ全編それを舞台にストーリーが展開。既存の建造物でロケしながらも、カメラでの切り取りかたで未来風にするというワザも多用されている。ストーリーは若干アラが目立つものの、演出と絡んだギャグも多いし、スピード感抜群だし、シュールな部分もあるしで、そのへんもさすがの飯島節。また、オープニング映像がロシア構成主義で素晴らしくカッコいい。4/5点。


第11話「バルンガ」。若干、演出、ストーリーに破綻があるものの、本格SFであり、ほかのどこにもないオリジナリティあふれ過ぎの強烈な映像イメージが惜しげもなく続出する傑作。東京上空に浮かんだバルンガが、人物ナメで画面奥に合成されてる画なんて、もう、観ていて脳が飛ぶよ。5/5点。


第12話「鳥を見た」。「育てよ!カメ」の山田、中島コンビ作で、海岸をおもな撮影地とした、ちょっとトリュフォー的とも言える魅力的な画がふんだんに楽しめる。「千年前からよみがえった謎の巨鳥」というイメージにもわくわくさせられる。ただ、その巨鳥の小鳥時代がただの文鳥なのはつらい。それしか手がないならなるべく文鳥の出番が少なくなるように工夫すべきだった。ただ、シルエットで処理した鳥が巨大化するシーンは素晴らしい。なお、本作にはオープニングがなく、エンドロールが流れる。異色。3/5点。


DVD ウルトラQ VOL.1


DVD ウルトラQ VOL.2


DVD ウルトラQ VOL.3

*1:キーワードを見てみたら、やはり権利関係らしい。けど、AとFが絡んで難しいのはわかるけど、ほかの人って手伝っただけだよね。それで権利に絡むというのがわからない。いまだって、誰かの漫画をほかのプロ漫画家が手伝うなんてことはざらにあるんだし。都市伝説?