西島大介/アトモスフィア 2

いい! こういう、漫画は漫画、言葉に置き換えにくいような作品がもっとどんどん出てくることを望む。

せっかく音楽なのに、せっかく漫画なのに、せっかく映画なのに、せっかく小説なのに、そこからひっぺがして自分レベルの言葉に落とすという行為が、はびこりすぎていると思う。たとえば古舘伊知郎なんかはそれを商売として、芸としてやってたからいいけど(ホントはよくないけど)、何を勘違いしたか、誰もがそういう行為をしていいという風潮がすでに猛烈に根強くて、もはや修正不可能な状況。

特にひどいのは音楽かな。雑誌には音楽から遠く離れた言葉があふれ、ライブ会場には音楽から遠く離れた「?(何か)」があふれている。

…ていうとほんとに誤解されそうだけど、「ひっぺがして自分レベルの言葉に落とす」のがつまらないのであって、世の中には「音楽的な評文・感想文」「映画的な評文・感想文」「漫画的な評文・感想文」ってのはいくらでもあるし、そこまで高いレベルじゃなくても「勝手にひっぺがして自分に引き寄せる」という行為に躊躇できている人というのはけっこういると思う。


アトモスフィア (2) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)