魂のジュリエッタ
『81/2』に続く、フェリーニ初のカラー作品。ジュリエッタの家の庭などのロケシーンが多く、ここのカラーが爽やかでふだんのフェリーニとは違う印象。また屋内(セット)では『女の都』的な感じと、『カサノバ』『そして船は行く』的なくすんだ不健康な感じの両方が楽しめてお得。
<データ>
GIULIETTA DEGLI SPIRITI
1964年/イタリア、フランス
監督、脚本:フェデリコ・フェリーニ/脚本:エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネッリ、ブルネッロ・ロンディ/撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ、音楽:ニーノ・ロータ
出演:ジュリエッタ・マシーナ、サンドラ・ミーロ、マリオ・ピスー
シンドバッド7回目の航海
劇場公開タイトルは『シンバッド七回目の航海』。いまさら説明の必要もない、人形アニメ作家、レイ・ハリーハウゼンによるシンドバッドシリーズ第1弾。今回は特撮カットと本編カットのモンタージュをじっくり楽しんだ。工夫がいっぱい。ワクワクしました。あと、バーナード・ハーマンの音楽が聴きたかったというのもあって。
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THE 7TH VOYAGE OF SINBAD
1958年/アメリカ
監督:ネイザン・ジュラン/脚本:ケネス・コルブ/撮影:ウィルキー・クーパー/特撮:レイ・ハリーハウゼン/音楽:バーナード・ハーマン
出演:カーウィン・マシューズ、キャスリン・グラント、トリン・サッチャー
アルファヴィル
ご存知、『アルファヴィル』。
アンナ・カリーナがくるっくるっと身を翻す動きは『女と男のいる舗道』のダンスシーンと同じ。何度観てもいい。
<データ>
ALPHAVILLE OU UNE ETRANGE AVENTURE DE LEMMY CAUTION
1965年/フランス、イタリア
監督、脚本:ジャン=リュック・ゴダール/撮影:ラウル・クタール/音楽:ポール・ミスラキ
出演:エディ・コンスタンティーヌ、アンナ・カリーナ、ラズロ・サボ、エイキム・タミロフ
山の音
鎌倉に住む一家の、嫁(原節子)と義父(山村聰)の間に芽生えた恋愛感情を包み隠しもせずに(と書いちゃうと言いすぎか?)描いたエロースな逸品。立派な人なんか一人も出てこないし、夫(上原謙)に至ってはそうとうひどいヤツだってことになるんだろうけど、でも、そういうもろもろを込みで、“そこにいる人々”ってことを描けてると思う。そんな中で、従順なできた嫁かと思っていた原節子が、後半、自分を出していくにしたがって、ドラマは動いていく。
この映画、原節子がキレイって意味ではナンバーワンかも。停電のシーンとか、ハナヂのシーンとか、義父の前で急に泣くシーンとか、クラッとしましたよ。あと冒頭、原節子が自転車で帰ってくる道はどっかで見た覚えがしてしょうがない。『めし』に似たような画があったのかしら?
室内への光の入り方とか、カメラが移動を始めるタイミング、スピードなんかも生理にうったえる気持ちよさ。成瀬巳喜男は気が合う感じの監督。
ちなみに川端康成の原作は読んだことない。これから読んでみますよ。
蛇足。義父の秘書的な役で出ている杉葉子の顔がどうしても苦手です。ついでに言うと久我美子も苦手。
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1954年/東宝
監督:成瀬巳喜男/原作:川端康成/脚本:水木洋子/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎
出演:原節子、上原謙、山村聰、長岡輝子、杉葉子、丹阿弥谷津子、中北千枝子ほか
バルカン超特急
サスペンスとロマンスと、そしてつねに忘れないユーモア。完璧な映画。
マーガレット・ロックウッドがかわいすぎる! ヒッチコックのエロ力(りょく)ときたらもう…。乱闘シーンで転倒して脚がぼーんと放り出されたりするんだよ。エロとユーモア、サスペンスとユーモアをなんのわだかまりもなくさらりと同時に提示できるのがヒッチコックの魅力。
中盤以降は全編が列車内で描かれるし、舞台が列車に移る前の、ホテルでのキャラ紹介の手際や、ミニチュアワークなんかも見どころ。お腹いっぱい。
<データ>
THE LADY VANISHES
1938年/イギリス
監督:アルフレッド・ヒッチコック/原作:エセル・リナ・ホワイト/脚本:シドニー・ギリアット/撮影:ジャック・コックス/音楽:ルイス・レヴィ
出演:マーガレット・ロックウッド、マイケル・レッドグレーヴ